《甲状腺QA》
[診療内容]→[甲状腺について]のページを、1問1答形式にて作り変えています。
分かりやすい表現になっていますので、ご参考に・・・
甲状腺の病気は、大きく2つに分類することができます。
? 甲状腺で生産されるホルモンの増加や低下により起こる病気
? 甲状腺の腫瘍の病気
Q1:男女どちらが多いのですか?(バセドウ病)
Q2:どんな症状がありますか?
Q3:どうやって診断するのですか?
Q4:治療方針はどのように決まるのですか?
Q5:その他にどんな病気が考えられますか?
Q6:男女どちらが多いのですか?(橋本病:慢性甲状腺炎)
Q7:どうやって診断するのですか?
Q8:どんな治療をするのですか?
Q9:注射針での細胞の採取はどのような検査ですか?
Q10:注射針で刺すときの痛みは?
Q11:細胞診の結果はどのくらいでわかりますか?
Q12:金額はいくらくらいかかりますか?
Q13:どうやって良性と悪性を鑑別するのですか?
Q14:悪性の場合はどうなるのですか?
では、順に見ていきましょう。
甲状腺で生産されるホルモンの増加や低下により起こる病気
甲状腺ホルモンが正常値より高くなる↑病気の代表はバセドウ病です。これはGraves’病とも言われていますが、自己免疫の異常により甲状腺で過剰にホルモンが産生されます。
Q1:男女どちらが多いのですか?
→女性に多い病気ですが男性も発症します。
Q2:どんな症状がありますか?
→症状は甲状腺腫大、眼球突出、動悸、体重減少、発汗過多、手の震え、生理不順、などがありますが、症状は患者様それぞれに違いがあり、症状が見られない方もおられます。
Q3:どうやって診断するのですか?
→甲状腺超音波検査、血液検査で行いますが、確定の難しい症例ではシンチグラム(甲状腺への放射性同位元素の取り込みを評価する検査)が必要な場合があります。この検査が必要な症例には久留米大学病院をご紹介させて頂きます。診断が確定した後、治療方針を決定します
Q4:治療方針はどのように決まるのですか?
→バセドウ病の患者様の治療には3つの方法があります。
1.メルカゾール、プロパジール、ヨウ化カリウム丸などの甲状腺ホルモンの産生を抑え込む内服を行う。
2.甲状腺の細胞を放射線の作用で壊し、甲状腺ホルモンを低下させる。
3.外科的に甲状腺を切除し、甲状腺ホルモンを低下させる。
いずれの方法にも、長所と短所があり、治療法の選択には患者様の希望、血液検査結果と超音波検査の結果を踏まえて行う必要があります。当院で選択できるのは1.の方法のみです。2.や3.の方針となられる患者様には、それぞれの方法が施行できる施設をご紹介させて頂く方針です。
Q5:その他にどんな病気が考えられますか?
→その他の甲状腺ホルモンが上昇する主な病因としては、
プランマー病
亜急性甲状腺炎
慢性甲状腺炎の急性増悪
慢性甲状腺炎経過中の無痛性甲状腺炎
・・・などがあります。
いずれの場合でも甲状腺ホルモンの高い状態に伴う症状の出現があると考えられるため、上記のような症状がある場合、クリニックへの受診が望まれます。
また、バセドウ病に伴って発症する眼球突出はバセドウ眼症と呼ばれ、目の奥にある目を動かす筋肉(眼筋)や眼窩の脂肪組織の炎症により眼窩の容積が増大し、眼球突出をきたす病気です。
眼球突出以外にも、眼瞼浮腫、充血、眼痛、複視などを訴えることもあります。左右どちらかだけの症状の場合もあります。ひどい場合は、視神経の圧迫による失明に至る事もあります。病期の正確な診断の為には、眼窩のMRI検査が必要です。当院では、久留米大学病院、新古賀病院、聖マリア病院に紹介させて頂き検査を行います。
症状が強い場合、治療が必要となり、ステロイド剤の点滴により炎症を抑え込む治療を行いますが、基本は入院して行います(約3週間)。この治療に対し効果の見られない症例には、ステロイド剤の投与後に放射線療法を行う事があります。
甲状腺ホルモンが正常値より低くなる↓病気の代表は、橋本病(慢性甲状腺炎)です。この病気も自己免疫の異常に伴う病気です。
Q6:男女どちらが多いのですか?
→この病気も女性が多いですが、男性も発症します。
Q7:どうやって診断するのですか?
→診断は、採血、超音波検査で行います。診断の難しい患者さまには大学病院で更に精密な検査をお願いする事がありますが、多くの方は当院での診断が可能です。
Q8:どんな治療をするのですか?
→治療は甲状腺剤の内服で行います。
また、この病気は、経過中に腫瘍の合併が比較的多い事がわかっており、3カ月おきの超音波検査を行う予定です。安定してきますと6か月に一度の経過観察を行っております。必要の際には、超音波検査と同時に注射針を用いて甲状腺の腫瘍の細胞を採取する検査を行う事があります。「穿刺細胞診〔せんしさいぼうしん〕」と言います。当クリニックで、細胞の採取を行うことが可能です。
Q9:注射針での細胞の採取はどのような検査ですか?
→検査はベッドで横になって行い、およそ30分かかります。まず、甲状腺周囲と甲状腺エコー機器のイソジン消毒を行います。次に、エコーにて穿刺部位の確認を行い、22G(針の太さを示す指標で、採血に一般的に使用されている)の注射針をエコーで確認しながら進めて行き、腫瘍の位置に針先を置き、注射器の陰圧で甲状腺腫瘍の細胞を吸引し、採取します。ただ、ある程度の大きさにならないと当たらない可能性もあります。
Q10:注射針を刺すときの痛みは・・・?
→痛みは針を刺すときにあります。採血検査の際の針で刺される痛みと同じくらいとお考えください。主な合併症は出血ですが、穿刺後の圧迫止血で十分に対応可能です。帰宅後、運動や入浴も可能です。
出血傾向を示す内服(血液をサラサラにするお薬)を行っている患者様には、検査までしばらく休薬をお願いすることがありますので、受診の際には他の医療機関からの処方内容(お薬手帳など)を提示いただきますようお願いいたします。
また、細胞診は予約が必要です。お電話にてご相談ください。
Q11:細胞診の結果はどのくらいでわかりますか?
→約2週間かかります。再診の際には、事前に結果が出ていることを電話にて確認後来院いただきます。
Q12:金額はどれくらいかかりますか?
→初診料・細胞診・採血をお受けになると、3割負担の方で約8,500円かかります。ただし、検査内容によっては金額が前後しますのでご了承ください。
甲状腺の腫瘍の病気
大きく分類して、良性腫瘍と悪性腫瘍に分かれます。
Q13:どうやって良性と悪性を鑑別するのですか?
→鑑別は超音波検査で検査を行いますが、疑わしいものや、超音波検査のみでは十分でない症例に対しては、甲状腺の腫瘍に対して超音波検査を行いながら注射針を用いて腫瘍の細胞を採取し、病理検査を行います。
また、CT検査やPET検査、採血検査も合わせて行い、すべての所見を総合的に判断させて頂く症例もあります。当院では、CT検査やPET検査は施行できないため、近隣の病院(久留米大学病院、古賀病院21、聖マリア病院)へ紹介させて頂きます。
Q14:悪性の場合はどうなるのですか?
→甲状腺の悪性腫瘍と診断できた症例や、確定ができなかったものの、悪性腫瘍が強く疑われる症例は甲状腺切除術をすすめます。紹介先は、久留米大学病院耳鼻科をはじめ、甲状腺専門病院のご紹介をさせて頂きます。